【2025年最新】リチウムイオン電池の販売場所を徹底調査!購入ルート、主要メーカー、安全な内容物を全解説

こんにちは、筆者のどこストアです!
スマートフォンやノートPCはもちろん、最近は電気自動車(EV)や家庭用蓄電システムにまで使われているのが「リチウムイオン電池」ですよね。
私たちの生活に欠かせない存在ですが、「いざ交換したい」「新しくポータブル電源が欲しい」と思ったとき、「どこで売ってるの?」「種類が多すぎてどれを選べばいいか分からない」と迷ってしまう方も多いのではないでしょうか?
特に近年は、電池の「内容物(正極材)」によって安全性や寿命が大きく異なるため、適当に選ぶのは危険です。
この記事では、リチウムイオン電池の購入ルートから、信頼できるメーカー、さらには安全性を左右する化学的な内容物まで、皆さんが抱えるすべての疑問を徹底的に解消していきます!
賢く、そして安全に電池を選ぶための知識を一緒に身につけていきましょう!
・【実店舗編】急ぎで欲しいなら!家電量販店とホームセンター
・【ネット編】安く種類も豊富!Amazon・楽天などの通販サイト選び方
・産業用・特殊な電池は専門業者やウェブショップが確実
・知っておきたい!リチウムイオン電池の基本構造と仕組み
- リチウムイオン電池はどこで売ってる?購入ルートの全体像
- 【実店舗編】急ぎで欲しいなら!家電量販店とホームセンター
- 【ネット編】安く種類も豊富!Amazon・楽天などの通販サイト選び方
- 産業用・特殊な電池は専門業者やウェブショップが確実
- 知っておきたい!リチウムイオン電池の基本構造と仕組み
- 主要メーカー7社を比較!信頼できるブランドと製品の選び方
- 安全性と長寿命が魅力!リン酸鉄リチウム(LFP)系の特徴と用途
- 高容量と高出力!スマホやPCで主流のコバルト系・三元系の違い
- 見分け方が重要!電池の性能を左右する「内容物」と安全性の関係
- 用途別おすすめの選び方(モバイルバッテリー、電動工具、家庭用蓄電)
- 安全な保管と廃棄方法:リチウムイオン電池を長く使うための注意点
リチウムイオン電池はどこで売ってる?購入ルートの全体像

リチウムイオン電池と一口に言っても、その種類は本当に多岐にわたります。
私たちが日常的に「売ってる場所」を探すことになるのは、主に以下の3つのカテゴリーに分類されます。それぞれのカテゴリーによって、最適な購入場所も変わってくるんですよ。
購入ルートを探す前に、まずはご自身が何を求めているのかを明確にすることが、最短で目的の製品にたどり着くための第一歩になります。具体的に、単体で販売されている電池セルなのか、それとも製品に組み込まれたバッテリーパックなのかを考えてみましょう。
一般的に、リチウムイオン電池の主要な購入ルートは「実店舗」「大手通販サイト」「専門業者」の3つに分けられます。
実店舗は「今すぐ欲しい」という緊急性の高いニーズに応えてくれますが、品揃えは限定的です。
一方、大手通販サイトは圧倒的な品揃えと価格の優位性がありますが、到着までの時間が必要です。
また、業務用や特定の型番(例えば18650のようなむき出しのセル)を探している場合は、専門業者に頼るのが最も確実で安全なルートとなります。
また、リチウムイオン電池の購入にあたっては、PSEマークの有無を必ずチェックしてください。これは電気用品安全法に基づいた日本の安全基準を満たしている証明であり、特に海外製品を購入する際には、安心の目安になります。偽物や安全基準を満たさない製品を避けるために、信頼できる販売店を選ぶことが極めて重要です。
私たちの生活を豊かにするリチウムイオン電池ですが、使い方を間違えると大きな危険を伴うため、購入場所だけでなく、製品の信頼性にも目を光らせる必要があることを覚えておいてくださいね。
購入したい製品カテゴリー別に見る販売店の特徴
ご自身の用途に合わせて、どの場所を選ぶべきか判断するための、カテゴリー別の販売店の特徴をまとめました。
例えば、スマートフォン用のモバイルバッテリーを探しているなら、家電量販店やコンビニでも手軽に見つかりますが、キャンプ用の大容量ポータブル電源となると、品揃えの面から通販サイトや専門店のほうが適しています。
| カテゴリー | 主な用途 | 推奨される購入場所 | 購入のポイント |
| モバイルバッテリー | スマートフォン、タブレット充電 | 家電量販店、コンビニ、大手通販サイト | 容量(mAh)、PD/QC対応、PSEマーク |
| ポータブル電源 | キャンプ、災害対策、車中泊 | 大手通販サイト、専門店(EcoFlow、Jackeryなど) | 電池の種類(LFPか三元系か)、AC出力の有無、メーカー保証 |
| カメラ・電動工具用バッテリー | 専用機器の交換用 | 家電量販店、ホームセンター、メーカー公式 | 必ず機器の型番に合った純正品または互換性の高い製品を選ぶ |
| 組み込み用電池セル(18650など) | 自作、産業用機器 | 専門業者、電子部品販売サイト | 保護回路の有無、放電レート(Cレート) |
特に近年注目されているのは、ポータブル電源市場です。防災意識の高まりやアウトドアブームにより、大容量のリチウムイオン電池を搭載した製品の需要が爆発的に増加しており、これらの製品は通常、Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングといった大手通販サイトの特設ページで充実したラインナップを見ることができます。
偽造品や粗悪品に要注意!安全な購入先を見極める視点
リチウムイオン電池はエネルギー密度が高いため、万が一粗悪品を掴んでしまうと、発火や爆発といった重大な事故につながるリスクがあります。
ですから、「安ければ何でもいい」という考えは禁物です。購入ルートを選ぶ際は、以下の点に特に注意を払うようにしてください。
【安全な購入先を見極める3つのチェックポイント】
- PSEマークの表示: 日本国内で販売されるリチウムイオン蓄電池(モバイルバッテリーなど)には、菱形の中に「PSE」と書かれたマークが必須です。これが無い製品は販売できません。
- レビューと評価の確認: 大手通販サイトで購入する場合、評価が極端に低い、または評価数が少なすぎる出品者からの購入は避けましょう。サクラレビューを見抜く目も必要です。
- メーカーの保証体制: 信頼できるメーカーは、必ず保証期間を設け、問い合わせ窓口を明確にしています。何かあった時にすぐに対応してもらえる体制があるか確認しましょう。
特に、単体の電池セルや交換用の互換バッテリーを購入する際は、「保護回路」が内蔵されているかを販売ページで確認してください。保護回路がないと、過充電や過放電による故障や事故のリスクが跳ね上がります。もし不明な点があれば、販売元に問い合わせるなど、慎重な姿勢で購入に臨んでくださいね。
【実店舗編】急ぎで欲しいなら!家電量販店とホームセンター

「明日からの旅行に間に合わせたい!」「今すぐ電動工具のバッテリーが切れて困っている!」
そんな急を要する状況で、最も頼りになるのが実店舗での購入です。在庫さえあれば、その日のうちに手に入れることができるのが最大のメリットですよね。
実店舗の中でも、家電量販店とホームセンターは、それぞれ品揃えの傾向が大きく異なりますので、目的の製品によって向かう場所を決めましょう。
【家電量販店が強い製品】
* モバイルバッテリー(Anker、cheero、Panasonicなど) * カメラ用リチウム電池(CR2などの一次電池) * ノートPCやスマートフォンの純正交換バッテリー(取り寄せになることが多い) * 小型の充電器、USB-Cケーブルなど関連アクセサリー
【ホームセンターが強い製品】
* 電動工具用バッテリー(マキタ、ハイコーキ、RYOBIなど) * DIYや防災に使える小型インバーター * 自転車用バッテリー(種類は限定的)
これらの店舗では、専門知識を持った店員さんに直接相談できるのも大きな利点です。特に互換バッテリーと純正品で迷った場合や、自分のデバイスに最適な出力(PD対応など)を知りたい場合に、的確なアドバイスをもらえるのは心強いですよね。ただし、店舗によって在庫状況や取り扱いメーカーが大きく異なるため、事前にウェブサイトで在庫をチェックするか、電話で確認してから出かけることをおすすめします。
ヨドバシカメラ・ビックカメラなどの家電量販店の品揃え
主要な家電量販店であるヨドバシカメラやビックカメラは、リチウムイオン電池関連商品を探す上で外せないスポットです。
特に、スマートフォンやカメラ周辺機器のフロアに行くと、数多くのモバイルバッテリーが比較しやすい形で展示されています。Ankerなどの人気ブランドの製品は必ずと言っていいほど置いてあり、実際に手に取って重さやサイズ感を確認できるのは、通販にはない大きなメリットです。
【家電量販店のメリットとデメリット】
| メリット | デメリット |
| 即日購入が可能 | 品揃えが小型製品に限定されがち |
| 製品を実際に見て触れる | 価格が通販サイトより高い場合がある |
| 店員に相談できる | 大容量のポータブル電源は在庫が少ない |
また、ヤマダ電機やケーズデンキなどの店舗でも同様の製品が見つかりますが、店舗規模によって品揃えに差が出やすい傾向があります。特定のメーカーの電池を探している場合は、公式ウェブサイトで取り扱い店舗を調べるのが確実です。家電量販店は、緊急で電池が必要になった時や、初めてモバイルバッテリーを購入する際の安心感を求める方に特におすすめできる購入場所と言えます。
カインズ・コーナンなどのホームセンターと電動工具バッテリー
ホームセンターは、家電量販店とは全く異なるリチウムイオン電池の需要に応える場所です。
主にDIYやガーデニング、プロの現場で使われる電動工具のバッテリーが充実しています。
マキタ、ハイコーキ(旧日立工機)、リョービといった主要な電動工具メーカーは、共通のリチウムイオンバッテリープラットフォームを展開しており、その交換用バッテリーはホームセンターの工具コーナーで手に入りやすいです。
【ホームセンターで手に入るリチウムイオン電池関連製品】
- 電動ドリル、インパクトドライバーなどの交換用バッテリーパック
- LEDランタン、投光器などのアウトドア用小型バッテリー製品
- 一部の自動車用品(ブースターケーブルや小型充電器)
ホームセンターの店員さんも、電動工具のバッテリーについては詳しいことが多いので、電圧(V)や容量(Ah)の違い、互換性について質問してみるのも良いでしょう。特に電動工具のバッテリーは、高い負荷がかかることが前提で作られているため、品質が非常に重要になります。純正品を選ぶか、信頼できる互換品を選ぶか、じっくり検討することが大切です。
ただし、一般の単三・単四形充電池(ニッケル水素電池など)はあっても、単体のリチウムイオン電池セル(18650など)が店頭に並んでいることは稀ですので、そうした特殊なものを探している場合は、後述する通販サイトや専門業者を利用しましょう。
電動工具の分野では、最近はリチウムイオン電池を使った高出力のバッテリーが主流になり、作業効率が格段に向上しています。これも技術の進歩の賜物ですね。
【ネット編】安く種類も豊富!Amazon・楽天などの通販サイト選び方

品揃えの豊富さ、価格競争力、そして自宅から一歩も出ずに購入できる利便性。
これらを考えると、リチウムイオン電池を探す上で、大手通販サイト(Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピング)は最も強力な購入ルートと言えます。
特に、家電量販店ではなかなか見つからない大容量のポータブル電源や、特殊な型番の交換用バッテリーも、通販サイトなら簡単に見つけ出すことができます。
しかし、通販サイトの最大の課題は、「玉石混交」であることです。安全基準を満たしていない粗悪品が紛れ込んでいる可能性もゼロではありません。
賢く、そして安全に購入するためには、ただ安い製品を選ぶのではなく、「出品者が誰か」「レビューが信頼できるか」「PSEマークの有無」を徹底的に確認することが重要になります。
筆者のおすすめは、まずはAmazonや楽天市場で検索してみて、候補を絞り込むことです。実際に購入したユーザーの生の声であるレビューは、製品の安全性や品質を測る上で非常に役立ちます。
特に、「発熱した」「すぐに充電できなくなった」といったネガティブなレビューは、製品の安全性を判断する上で絶対に無視してはいけない情報です。
通販サイトで探すべき「ポータブル電源」と「互換バッテリー」のチェック点
通販サイトで特に探されやすい製品として、「ポータブル電源」と「互換バッテリー」が挙げられます。
これら二つの製品群は、リチウムイオン電池の性能がそのまま製品の利便性と安全性に直結するため、購入時には特別な注意が必要です。
【ポータブル電源のチェックポイント】
- 電池の種類: リン酸鉄リチウム(LFP)を採用しているか確認しましょう。後述しますが、LFPは安全性が高く、長寿命です。
- AC出力の有無とW数: 家庭用コンセントと同じ交流電源が出力できるか、また、使用したい家電の消費電力に対応できるか(500W、1000Wなど)を確認します。
- 充電時間: 最近の製品は急速充電に対応し、数時間で満充電できるものも増えています。
【互換バッテリーのチェックポイント】
互換バッテリーは純正品に比べて価格が魅力ですが、その分リスクもあります。必ず以下の点を確認してください。
- 保護回路内蔵: 過充電、過放電、過電流から電池を守る保護回路が必須です。
- レビューの信頼性: 特定の機種で問題なく動作しているか、実際に使用した期間が長いユーザーのレビューを重視しましょう。
- 保証期間: 互換品でも、最低限の保証(例:6ヶ月〜1年間)を提供しているメーカーを選びましょう。
特に安価な互換バッテリーは、記載されている容量(mAh)が実際よりも少ない「サギ容量」の場合もあるため、信頼できる出品者を見つけることが成功の鍵になります。
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングを使いこなす検索テクニック
大手通販サイトの検索窓は、ただ単語を入れるだけでは、質の低い製品や関係のない商品も表示されてしまいがちです。効率よく信頼できるリチウムイオン電池を探すためには、検索テクニックを駆使しましょう。
【効果的な検索ワードと絞り込みの例】
| 目的 | 検索ワードの例 | 絞り込み機能の活用 |
| 安全なポータブル電源 | 「ポータブル電源 リン酸鉄」 | 評価4.0以上、価格帯、ブランド名(Jackery, EcoFlowなど) |
| 高出力のモバイルバッテリー | 「モバイルバッテリー PD 65W」 | 出力ワット数(W)、容量(mAh)、カスタマーレビュー |
| 純正品に近い交換バッテリー | 「〇〇(機器名) バッテリー 互換 PSE」 | 出品者情報(国内業者か否か)、保証期間 |
また、Amazonには「ブランドストア」という機能があります。信頼できるメーカー(Anker、EcoFlow、cheeroなど)は自社のブランドストアを構えていることが多く、そこから直接購入すれば、偽造品を掴まされるリスクを大幅に減らすことができます。
さらに、ポイント還元率が高い日や、Amazonプライムデー、楽天スーパーセールといった大型セールのタイミングを狙えば、通常よりも遥かに安く高品質なリチウムイオン電池関連製品を手に入れることができますので、セール情報もぜひチェックしてみてくださいね。
産業用・特殊な電池は専門業者やウェブショップが確実

私たちが日常的に使うモバイルバッテリーや家電製品とは異なり、リチウムイオン電池の中には、専門的な知識と取り扱いが必要な製品があります。
それが、「産業用」や「組み込み用」のリチウムイオン電池セルです。
例えば、円筒形のリチウムイオン電池セルである18650型や21700型などがこれに当たります。これらは、バッテリーパックの心臓部として組み込まれることが前提であり、単体で一般の家電量販店に並ぶことは基本的にありません。
これらのセルを単体で購入し、自分で機器に組み込む(自作する)行為は、非常に高い危険性を伴います。なぜなら、単体のセルには通常、過充電や過放電を防ぐための「保護回路」がついていないからです。専門的な知識なく扱うと、熱暴走や発火の原因になりかねません。
そのため、産業用や特殊な電池が必要な場合は、必ず専門の販売業者や電子部品を取り扱うウェブショップを利用することが絶対条件となります。これらの業者は、セルの品質管理を徹底しており、保護回路付きのセルや、安全なバッテリーパックとして組み立てた状態で提供してくれます。
18650型、21700型セルなど組み込み用電池の購入先
特定の電子工作や産業機器の修理・開発用途で、18650や21700といった円筒形セルを探している方は多いでしょう。
これらのセルの主な購入先は、以下のような専門ルートになります。
- 電子部品専門商社: チップワンストップやアールエスコンポーネンツなど、産業用部品を扱う大手商社。
- 電池専門のウェブショップ: 稲電機などのバッテリー専門店。
- メーカー直販または認定代理店: Panasonic、SONY(現・村田製作所)、Samsung、LGなどのメーカーの認定代理店。
最も安全かつ確実なのは、メーカー認定の正規代理店から購入することです。
なぜなら、これらのセルは偽造品が多く出回っており、特に中国系のECサイトで販売されている「超大容量」を謳う激安品は、容量が偽装されているだけでなく、危険な粗悪品である可能性が高いからです。
また、セルを選ぶ際は、容量(mAh)だけでなく、「最大放電電流(Cレート)」を必ず確認してください。高出力な電動工具などに使う場合は、高いCレート(例:10A以上)が求められます。用途に合わないセルを使うと、性能が発揮できないだけでなく、発熱して危険です。
リチウムイオン電池 専門業者をGoogle検索で探す際も、会社の所在地や設立年、実績などを確認し、信頼できる業者を選ぶようにしましょう。
専門業者を選ぶ際の品質保証とロット管理の重要性
専門的な用途でリチウムイオン電池を購入する場合、品質保証(QC)とロット管理は非常に重要です。
例えば、医療機器や航空宇宙関連の機器に組み込むバッテリーは、わずかな性能のばらつきも許されません。信頼できる専門業者は、仕入れた全てのセルに対して、電圧、内部抵抗、容量などの検査を独自に行っており、そのデータシートを提供してくれます。
また、セルの「ロット」が揃っているかどうかも重要です。リチウムイオン電池は、製造された時期やロットによって微妙に性能が異なるため、複数のセルを組み合わせてバッテリーパックを作る場合、ロットがバラバラだとセル間のバランスが崩れやすく、パック全体の寿命が短くなったり、故障の原因になったりします。
【専門業者に確認すべき事項】
- 製品の検査データシートの提供可否
- 購入ロットの指定、または統一ロットでの提供可否
- 単体セル購入時の保護回路の有無
- 事故発生時のPL保険の有無
これらの情報は、一般的な消費者向けのモバイルバッテリー販売店では得られません。専門業者との取引は、単に製品を買うだけでなく、「安全と品質の証明」を買う行為であることを意識してください。
知っておきたい!リチウムイオン電池の基本構造と仕組み

購入場所やメーカーの話も大切ですが、リチウムイオン電池を深く理解し、安全に使うためには、「電池の仕組み」を知っておくことが非常に重要です。
特に近年、ニュースで「リチウムイオン電池の発火事故」といった報道を目にすることが増えましたが、なぜ燃えるのか、どうすれば安全なのかを理解するには、その基本的な構造を知るのが一番の近道です。
リチウムイオン電池は、主に「正極」「負極」「電解液」「セパレーター」という4つの主要な要素で構成されています。
充電と放電は、この4要素の間でリチウムイオンが往復することで行われます。詳しく見ていきましょう。
簡単に言えば、リチウムイオンが正極から負極へ移動するときにエネルギーを貯め(充電)、負極から正極へ戻るときにエネルギーを取り出す(放電)のです。このイオンの動きをスムーズにするのが電解液であり、正極と負極が直接触れてショートするのを防ぐのがセパレーターです。
この仕組みを頭に入れておくと、これから解説する「内容物(材料)」の違いが、電池の性能や安全性にどう影響するのかが、スッと理解できるようになりますよ。
「正極」「負極」「電解液」が果たす役割
リチウムイオン電池の心臓部である主要な構成要素について、もう少し掘り下げて見ていきましょう。
【リチウムイオン電池の主要構成要素と役割】
| 要素 | 役割と機能 | 主な材料 |
| 正極(プラス極) | 電池の電圧と容量を決定。放電時にリチウムイオンを受け取る側。 | コバルト酸リチウム、三元系(NCM/NCA)、リン酸鉄リチウムなど |
| 負極(マイナス極) | リチウムイオンを貯蔵。充電時にリチウムイオンを受け取る側。 | グラファイト(炭素系材料)が主流、チタン酸リチウムなど |
| 電解液 | 正極と負極の間でリチウムイオンを運ぶ媒体。 | リチウム塩を有機溶媒に溶かしたもの(非水系) |
| セパレーター | 正極と負極を物理的に隔て、ショートを防ぐ。微細な孔でイオンだけを通す。 | ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などの多孔質フィルム |
特に重要なのが「正極」です。
後述のメーカーや安全性の話で頻出する「リン酸鉄リチウム(LFP)」「三元系(NCM)」といった分類は、すべてこの正極に使われる材料の違いを指しています。
正極材の選び方一つで、電池がどれだけのエネルギーを蓄えられ、どれだけ安全に、そして長く使えるかが決まってしまうのです。
また、電解液はリチウムイオン電池の発火リスクに直結する要素です。現在の主流は「非水系」の有機溶媒ですが、これが可燃性であるため、内部でショートして熱が発生すると、発火につながる危険性があるのです。このリスクを克服するために、全固体電池などの次世代技術が研究されています。
リチウムイオン電池とリチウム電池(一次電池)の違い
店頭で「リチウム電池」という表示を見たときに、「リチウムイオン電池とどう違うの?」と疑問に思ったことはありませんか?
実は、この二つは全くの別物です。
【二つのリチウム電池の決定的な違い】
| リチウムイオン電池(二次電池) | リチウム電池(一次電池) | |
| 特徴 | 充電して繰り返し使える | 一度きりの使い切り |
| 主な用途 | スマホ、PC、EV、モバイルバッテリー | カメラ(CR2など)、リモコン、コイン形電池(CR2032など) |
| 電圧 | 約3.7V(セルあたり) | 約3.0V |
| 内部の仕組み | リチウムイオンが正極と負極を往復する | 化学反応が不可逆的(元に戻らない) |
私たちが普段「リチウムイオン電池」と呼んでいるのは、充電して何度も使える「二次電池」のことです。
一方、「リチウム電池」と表示されている、例えばカメラ用のCR2やコイン形電池(CR2032)などは、「一次電池」と呼ばれ、一度放電したら終わり、つまり使い捨てです。
どちらもリチウムを使用していますが、仕組みが根本的に異なります。
家電量販店の電池コーナーで「CR2電池はどこで買う?」と探している方は、こちらの使い切りタイプを求めていることが多いので、購入の際は間違えないように注意してくださいね。
主要メーカー7社を比較!信頼できるブランドと製品の選び方

リチウムイオン電池は、高性能な化学製品であり、その信頼性はメーカーの技術力と品質管理体制に大きく依存します。
特に電気自動車(EV)や大規模な蓄電システムに使われるような高性能な電池は、特定の数社が世界の市場シェアの大部分を占めています。これらのメーカーは、単に電池を製造するだけでなく、安全性の研究開発にも巨額の投資を行っているため、製品の信頼性が非常に高いと言えます。
ここでは、世界的に見て特にシェアが高く、高い信頼性を誇る主要メーカー7社を比較し、それぞれの特徴と強みについて解説していきます。モバイルバッテリーやポータブル電源を選ぶ際にも、これらのメーカー製のセルを使っているかどうかは、品質の大きな判断基準になりますよ。
信頼できるメーカーの製品を選ぶことが、長期的な安心につながります。
世界市場を牽引するトップメーカーとそれぞれの強み
現在、世界のリチウムイオン電池市場は、アジアの企業が圧倒的な強さを見せています。特にEV用バッテリーの分野では、中国、韓国、日本のメーカーが熾烈な競争を繰り広げています。
【主要リチウムイオン電池メーカーの特徴】
| メーカー名 | 国 | 主な強み・特徴 | 主要な用途 |
| CATL (Contemporary Amperex Technology Co., Ltd.) | 中国 | 世界最大のEV用バッテリー供給メーカー。低コストと急速な技術開発力。 | 電気自動車(EV)、大規模蓄電システム |
| LG Energy Solution (LGES) | 韓国 | 高エネルギー密度な三元系電池に強み。多様なEVメーカーに供給。 | 電気自動車(EV)、ESS(電力貯蔵システム) |
| Panasonic Corporation | 日本 | 高安全性と高信頼性。特に円筒形セル(18650, 21700)の技術に定評あり。 | 電気自動車(EV)、ノートPC、産業機器 |
| Samsung SDI | 韓国 | 小型から大型まで幅広いラインナップ。高出力セル技術に強み。 | スマートフォン、EV、電動工具 |
| BYD Co., Ltd. | 中国 | EV車とLFP電池の一貫生産体制を持つ。ブレードバッテリーで有名。 | 電気自動車(EV)、バス、ESS |
| SK Innovation (SK On) | 韓国 | 高ニッケル三元系(NCM)技術に注力。急速充電性能が高い。 | 電気自動車(EV) |
| Toshiba Corporation | 日本 | SCiB™(チタン酸リチウム系)に強み。長寿命と超急速充電が特徴。 | 産業用、電動バイク、バス |
モバイルバッテリーやポータブル電源を選ぶ際は、AnkerやJackeryといった製品ブランドだけでなく、その製品に「どのメーカーのセルが使われているか」を確認すると、より高品質な選択ができますよ。
モバイルバッテリーで人気のアウトドアブランドと選ぶ視点
一般消費者の間で特に人気が高いのは、完成品として販売されているモバイルバッテリーやポータブル電源です。ここでは、特に人気のアウトドア・ガジェットブランドの選び方を見ていきましょう。
【人気ブランドの傾向】
- Anker(アンカー): 圧倒的な知名度と品質保証体制。急速充電技術(PowerIQなど)に強みがあり、コストパフォーマンスも高いです。
- Jackery(ジャクリ)/EcoFlow(エコフロー): ポータブル電源の分野で市場を牽引。最近は安全性の高いリン酸鉄リチウム(LFP)モデルに力を入れています。
- cheero(チーロ): コストを抑えつつ、可愛いデザインや安定した性能を持つモバイルバッテリーを提供。
これらのブランドの製品は、先ほど挙げたPanasonicやSamsungなどの大手セルメーカーの電池を内部に組み込んでいます。つまり、完成品メーカーが、信頼性の高いセルを選び、適切な保護回路と筐体で安全にパッケージ化しているのです。
選ぶ際の視点として、「過充電・過放電保護機能」「温度制御機能」「保証期間」の3つがしっかり明記されているかをチェックしてください。特にポータブル電源は高額になるため、日本国内でのサポート体制が整っているブランドを選ぶことが、万が一の故障や事故への備えとなります。
ポータブル電源 リン酸鉄といったキーワードで検索すると、最新の安全性の高い製品がヒットしやすくなりますよ。
安全性と長寿命が魅力!リン酸鉄リチウム(LFP)系の特徴と用途

近年、リチウムイオン電池の分野で最も注目を集めているのが、「リン酸鉄リチウム(LiFePO₄)」を正極材に使用したLFP系の電池です。
このLFP系電池は、従来主流だったコバルト系や三元系電池と比較して、「エネルギー密度は少し低い」という弱点があります。しかし、それを補ってあまりあるほどの「安全性」と「長寿命」という二大メリットを持っているため、電気自動車(特に中国車やテスラの一部モデル)や、家庭用蓄電システム、大型ポータブル電源といった、高い安全性が求められる用途で急速に採用が広がっています。
LFP系の最大の魅力は、その熱安定性の高さにあります。熱暴走(電池内部で急激な温度上昇が起こり、発火・爆発に至る現象)が起こりにくく、万が一の事故の際にも、発火に至る可能性が非常に低いのが特徴です。
「とにかく安全性を最優先したい」「一度買ったら長く使いたい」と考えている方にとっては、まさに最適なリチウムイオン電池と言えるでしょう。
LFP系電池が発火しにくい理由と熱安定性の仕組み
LFP系電池がなぜこれほどまでに安全性が高いのか、その秘密は正極材の化学構造にあります。
LFP系のリン酸鉄(FePO₄)は、非常に強固で安定した構造を持っています。具体的には、電池が過充電や外部からの衝撃によって内部温度が上昇した際に、酸素を放出しにくいという特性があります。
従来の三元系電池(ニッケル、コバルト、マンガンなどを使用)は、高温になると正極材から酸素ガスを放出しやすく、これが電解液(可燃性の有機溶媒)と反応することで、連鎖的な熱暴走(発火)につながるリスクが高まります。
しかし、LFP系ではこの酸素放出が非常に起こりにくく、仮に熱暴走が始まったとしても、その進行が緩やかであるため、電池全体が発火に至る前に熱を外部に逃がす時間的余裕が生まれます。これが、LFP系が「発火しにくい」と言われる科学的な根拠なのです。
| 正極材の種類 | 熱安定性 | 発火リスク | サイクル寿命 |
| リン酸鉄リチウム(LFP) | 非常に高い | 低い | 長い(3,000回以上) |
| 三元系(NCM/NCA) | 低い | 高い | 普通(1,000〜2,000回程度) |
この熱安定性の高さこそが、LFP系が特に防災用や家庭用といった「設置しっぱなし」の用途で重宝される最大の理由です。
EVや家庭用蓄電池でLFP系の採用が増えている背景
かつてはEV用電池の主流は日本のメーカーが得意とする三元系(高容量)でしたが、ここ数年でLFP系の採用が世界的に拡大しています。
この背景には、主に以下の3つの要因が絡み合っています。
- コストの優位性: LFP系は、高価なコバルトやニッケルの使用量が少ないか、あるいは全く使用しないため、三元系に比べて製造コストが大幅に安くなります。
- 環境・資源リスクの低減: コバルトは採掘地域や資源の偏りによるサプライチェーンのリスクがあるため、LFPは資源調達の安定性という点で非常に有利です。
- サイクル寿命の長さ: LFP系は、充電・放電を繰り返しても性能が低下しにくく、3,000回以上のサイクル寿命を持つ製品も珍しくありません。これは、長期間の使用が前提となる蓄電システムにおいて決定的な強みとなります。
特に家庭用蓄電システムでは、一度設置したら10年以上の使用が求められるため、LFP系の長寿命と安全性が高く評価されています。また、ポータブル電源でも、JackeryやEcoFlowなどの主要ブランドが、高価格帯のフラッグシップモデルにLFPを採用する傾向が強まっています。
購入の際は、「LFPバッテリー搭載」という表示があるかどうかを、必ずチェック項目の一つに加えてみてください。
高容量と高出力!スマホやPCで主流のコバルト系・三元系の違い

LFP系が「安全性と長寿命」のキングだとすれば、「高容量と高出力」の分野を長年支配してきたのがコバルト系や三元系(NCM/NCA)の電池です。
あなたの今使っているスマートフォンやノートPC、そして高性能なドローンや一部のハイエンドEVのバッテリーには、ほとんどの場合、この系統の電池が採用されています。
これらの電池の最大の強みは、エネルギー密度の高さです。つまり、同じ体積や重さの中で、より多くの電気を貯めることができるということです。スマホをより薄く、軽くしたいというニーズや、EVの航続距離を伸ばしたいという要求に応えるためには、このエネルギー密度が欠かせません。
しかし、先に述べたように、安全性や長寿命という点ではLFP系に一歩譲ります。特に、過充電や外部からの強い衝撃に対しては、熱暴走のリスクがLFP系よりも高くなるため、使用する機器側で厳重な安全管理システム(保護回路や温度センサー)が必須となります。
高性能なガジェットを選ぶ上で、コバルト系や三元系がなぜ主流なのか、その理由と、LFP系との違いを明確に理解しておきましょう。
LCO系(コバルト酸リチウム)の特性と小型機器での採用理由
LCO系(Lithium Cobalt Oxide / コバルト酸リチウム)は、最も古くからリチウムイオン電池の正極材として使われてきた材料の一つです。化学式は $LiCoO_2$ と表記されます。
【LCO系の主な特性】
- 高エネルギー密度: グラムあたりの容量が非常に高く、小型化に最適です。
- 優れた出力特性: 安定した高電圧を出力できます。
- コスト高: コバルトは非常に高価なレアメタルであるため、材料コストがかさみます。
LCO系が特にスマートフォンやノートPC、タブレットといった「小型で軽量、かつ長時間駆動が求められる機器」で長年主流であったのは、この高エネルギー密度のおかげです。
しかし、LCO系は熱安定性が他の材料に比べて低く、過充電や高温に弱いという欠点があります。そのため、小型機器のバッテリーパックには、必ず緻密な温度管理や保護回路が組み込まれており、安全性を確保しています。
最近では、コバルトの使用量を減らすために、後述の三元系(NCM/NCA)に置き換わりつつありますが、体積当たりのエネルギー密度では依然として高い性能を発揮するため、特定の小型・薄型機器では引き続き採用されています。
NCM/NCA系(三元系)のバランスとEV市場での位置づけ
三元系とは、正極材にニッケル(Ni)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)の3つの金属を組み合わせて使用するNCM系(Lithium Nickel Cobalt Manganese Oxide)や、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)を組み合わせたNCA系(Lithium Nickel Cobalt Aluminum Oxide)のことを指します。化学式で表現すると $Li(Ni_{x}Co_{y}Mn_{z})O_2$ や $Li(Ni_{x}Co_{y}Al_{z})O_2$ となります。
三元系は、LCO系の「高エネルギー密度」と、マンガン系の「安全性」をバランス良く両立させた材料として開発されました。
特にニッケル比率を高めた「高ニッケル三元系」は、エネルギー密度をさらに高めることができるため、電気自動車(EV)のメインバッテリーとして世界中で最も広く採用されています。テスラや日産、トヨタなどのEVに、LGESやPanasonic、SK Onといったメーカーの三元系バッテリーが供給されているのは、航続距離の要求を満たすためです。
| 金属の役割 | 特徴 |
| ニッケル(Ni) | エネルギー密度(容量)を高める |
| コバルト(Co) | 構造を安定させ、サイクル寿命を改善する |
| マンガン(Mn) | 熱安定性を高め、コストを抑える |
| アルミニウム(Al) | 構造安定性を高める(NCA系) |
三元系は非常に高性能ですが、高ニッケル化が進むほど、熱安定性が再び低下する傾向があるため、メーカーは高度な温度管理システム(冷却システム)をEVに組み込むことで安全性を維持しています。
見分け方が重要!電池の性能を左右する「内容物」と安全性の関係

リチウムイオン電池を購入する際に、最も難しいのが「見た目では分からない内容物(正極材)」を見極めることです。
前述の通り、「LFP系」か「三元系」かによって、その電池の特性は安全性、寿命、容量という点で大きく異なります。特にポータブル電源のような高額な製品を選ぶ際は、この内容物を知らずに購入するのは、もはや時代遅れと言えるかもしれません。
信頼できるメーカーやブランドは、この正極材の種類を積極的に公開する傾向にあります。なぜなら、LFP系を使っていることは「安全性の高さ」をアピールする上で強力な武器になるからです。
このセクションでは、販売情報から内容物を推定する方法と、それぞれの特性が具体的にどのように安全や寿命に影響するのかを深掘りし、あなたの製品選びに役立つ判断基準を提供します。
製品情報から「正極材の種類」を推定・確認する方法
一般の家電量販店の店頭では、モバイルバッテリーのパッケージに「正極材:リン酸鉄リチウム」と記載されていることは稀です。しかし、通販サイトの製品ページやメーカーの公式情報、あるいはレビュー動画などから、その電池がLFP系か三元系かを推定するヒントはいくつもあります。
【正極材を見分けるための5つのヒント】
- 「LFP」「LiFePO4」「リン酸鉄」の記載の有無: 最も直接的な手がかりです。メーカーが安全性をアピールしたい場合、必ずどこかに記載しています。
- 「サイクル回数」の記載: サイクル寿命が2,000回以上など、極端に長い場合はLFP系の可能性が高いです。三元系は通常、500〜1,000回程度の記載が多いです。
- 「重量」と「容量」のバランス: 同じ容量(Wh)の製品で比較した際、LFP系の方が三元系よりも重くなる傾向があります(エネルギー密度が低いため)。
- メーカー・ブランドの公表情報: JackeryやEcoFlowなどの大手ポータブル電源メーカーは、どのモデルにLFPを採用しているかを明確に公表しています。
- 最大電圧(セルあたり): LFP系は約3.2V、三元系は約3.7Vと、セルごとの電圧が異なります。製品の仕様書にある電圧から類推できる場合もあります。
もし、どの情報も見つからない場合は、そのメーカーが安全性を重視していないか、あるいはコスト重視の三元系(NCM/NCA系)を使っている可能性が高いと判断して、より情報公開に積極的なブランドを選ぶことをおすすめします。
サイクル寿命と熱安定性が利用シーンに与える影響
正極材の違いは、電池の性能だけでなく、あなたの利用シーンと深く結びついています。
【サイクル寿命が長い LFP系が向いている用途】
LFP系は3,000回以上のサイクル寿命を持つことが多いため、「毎日使う」「長期間使い続ける」用途に最適です。
- 家庭用蓄電システム: 毎日充放電を繰り返すため、寿命の長さがそのまま経済性に直結します。
- 防災・非常用電源: 10年以上保管し、いざという時に確実に使える耐久性が求められます。
- EV(タクシー、バスなど): 走行距離が長く、充電回数が多いため、長寿命が必須です。
【エネルギー密度が高い 三元系が向いている用途】
三元系は同じ重さで大容量を実現できるため、「軽量化・小型化」が至上命題となる用途に優れています。
- スマートフォン、ノートPC: 携帯性が最優先されるため、小型高容量が必須です。
- ハイエンドEV: 可能な限り航続距離を伸ばしたい場合に採用されます。
- 高性能ドローン: 搭載重量が厳しく制限されるため、高密度が求められます。
つまり、ポータブル電源を選ぶ際は、持ち運びやすさ(三元系)と、安全性・経済性(LFP系)のどちらを優先するかで、選ぶべき正極材が変わってくるというわけです。自分のライフスタイルを考えて、最適な内容物を選びましょう。
用途別おすすめの選び方(モバイルバッテリー、電動工具、家庭用蓄電)

いよいよ、具体的な用途に合わせたリチウムイオン電池製品の選び方をご紹介します。
リチウムイオン電池の賢い選び方は、「何を、どこで、どれだけ使うか」という三つの質問に答えることから始まります。
例えば、スマートフォンを1回フル充電したいだけなら、コンビニで売っている小型のモバイルバッテリーで十分かもしれません。しかし、もし災害時に冷蔵庫を数時間動かしたいなら、全く違う基準で選ぶ必要があります。
ここでは、皆さんが最も購入する可能性が高い3つのカテゴリーに焦点を当てて、容量、出力、そして正極材という3つの決定的な要素をどのように判断すべきかを解説します。この情報があれば、もう迷うことはありませんよ!
モバイルバッテリー選びの「容量」「出力」と「機内持ち込み」の制限
モバイルバッテリー選びは、リチウムイオン電池製品の中で最も身近な購入体験かもしれません。しかし、手軽な分、知っておくべき重要なルールがあります。
【モバイルバッテリー選びの3大チェック項目】
- 容量(mAh / Wh): 自分のスマホの容量の約2〜3倍を目安に選びます。ただし、モバイルバッテリーは一般的にmAhではなくWh(ワットアワー)で管理されます。
- 出力(W / PD): 端末への充電速度を決定します。PD(Power Delivery)対応で20W〜65Wなど、高出力なものがおすすめです。
- 機内持ち込み制限: 国際線・国内線問わず、リチウムイオン電池の持ち込みには制限があります。160Wh以下である必要があり、多くのモバイルバッテリーは100Wh以下に収まっていますが、大容量モデルを購入する際は必ず確認が必要です。
特に機内持ち込みの制限については、本体にWh表示がない場合、以下の計算式で確認できます。
容量(mAh) $\times$ 電圧(V) $\div$ 1,000 = Wh(ワットアワー)
例えば、10,000mAhで3.7Vの電池なら、 $10,000 \times 3.7 \div 1,000 = 37Wh$ となります。多くのモバイルバッテリーが3.7V換算で容量表示されていますので、この計算式を覚えておくと便利です。
電動工具用バッテリー:互換性と電圧(V)・容量(Ah)の確認
電動工具のバッテリーを選ぶ際は、モバイルバッテリーとは全く異なる基準で選ぶ必要があります。
ここでは、「電圧(V)」と「容量(Ah)」、そして最も重要な「互換性」の3つの要素に絞って解説します。
- 互換性: これが最重要です。電動工具メーカーは、バッテリーと工具本体、充電器を一つのシステムとして設計しています。原則として、純正品の指定電圧(例:18V、36V)と形状が合致しないと使えません。
- 電圧(V): 10.8V、14.4V、18V、36Vなどがあり、これは工具の「パワー」を決定づける数値です。高いV数ほど、トルク(回転力)や切断スピードが上がります。
- 容量(Ah): 1.5Ah、3.0Ah、6.0Ahなどがあり、これは工具の「使用できる時間」を決定づけます。同じV数なら、Ah数が大きいほど長く使えますが、その分重くなります。
互換品を選ぶ場合も、必ず「PSEマーク」と「PL保険(製造物責任保険)」の記載がある、信頼できる出品者から購入してください。粗悪な互換バッテリーは、充電器や工具本体を故障させるだけでなく、発火事故の原因にもなりかねません。
電動工具は高い出力が求められるため、内部に使われるセルも高出力対応のものが使われています。安全性を確保するためにも、ホームセンターなどの実店舗で、信頼できるブランドの製品を選ぶようにしてください。
家庭用蓄電システム:LFP系と設置の際の業者選び
災害対策や電気代削減のために家庭用蓄電システムを導入する場合、これは家電の購入というより「住宅設備の導入」に近くなります。
まず、電池の種類については、先に解説した通り、安全性と長寿命に優れたリン酸鉄リチウム(LFP)系を搭載した製品が第一候補となります。
次に、最も重要なのが「設置業者選び」です。
家庭用蓄電システムは、電気工事が必要であり、設置場所の選定(屋内か屋外か)、太陽光発電システムとの連携、電力会社との契約変更など、専門的な知識が求められます。製品自体が良くても、設置工事が不適切だと、期待通りの性能が発揮されなかったり、最悪の場合、事故につながる可能性もあります。
家庭用蓄電システム 設置業者を検索して、複数の業者から見積もりを取り、以下の点を比較検討しましょう。
- 工事実績: 蓄電システムの設置経験が豊富か。
- 資格の有無: 電気工事士などの必要な資格を保有しているか。
- アフターサポート: 設置後の保証やメンテナンス体制が整っているか。
- 製品保証と工事保証: 製品保証だけでなく、工事に対する保証も提供しているか。
高額な投資だからこそ、焦らず、信頼できる業者とLFP系の安全なバッテリーを選んで、安心できる生活を手に入れてくださいね。
安全な保管と廃棄方法:リチウムイオン電池を長く使うための注意点

高性能で便利なリチウムイオン電池ですが、そのエネルギー密度の高さゆえに、取り扱いには細心の注意が必要です。
どんなに高性能で安全性の高い電池(LFP系であっても)を選んだとしても、使い方や保管方法を間違えれば、発熱や発火のリスクは高まります。
特に、「まだ使えるから」と劣化して膨張した電池を使い続けたり、「普通ゴミ」として捨ててしまったりすると、自宅や廃棄物処理施設で火災を引き起こすといった、社会的な問題にも発展しかねません。
リチウムイオン電池を長く、そして安全に使い続けるために、適切な保管方法と、国が定めるルールに基づいた正しい廃棄方法をしっかりと学んでおきましょう。これは、電池ユーザーとしての最低限のマナーであり、自分自身の安全を守ることにもつながります。
リチウムイオン電池の「熱」対策と最適な保管状態
リチウムイオン電池の性能劣化や事故の原因の多くは、「熱」に関係しています。熱は電池にとって最大の敵なのです。
【電池の安全を守るための「熱」対策】
- 高温多湿を避ける: 夏場の車内や直射日光が当たる場所など、高温になる場所での保管・充電・使用は絶対に避けてください。
- 充電中の放置をしない: 特に長時間充電する場合は、周囲に燃えやすいものを置かず、目の届く場所で行いましょう。
- 異変を感じたらすぐに使用中止: 充電中や使用中に「異常に熱い」「膨らんでいる」「異臭がする」といった異変を感じたら、すぐに使用を中止し、燃えにくい場所(屋外のコンクリートの上など)に隔離してください。
また、電池を長期保管する際は、「満充電」や「完全放電」を避けるのが鉄則です。
最適な保管状態は、電池残量が30%〜50%程度で、直射日光の当たらない涼しい場所(15℃〜25℃)です。
満充電の状態で放置すると、電池に高い負荷がかかり、劣化が早まったり、熱暴走のリスクが高まったりします。長期保管する予定があるポータブル電源などは、残量をチェックしてから片付けるように心がけてください。
JBRCなどのリサイクル協力店を利用した正しい廃棄方法
リチウムイオン電池は、決して燃えるゴミや燃えないゴミとして捨ててはいけません!
もし一般ゴミに混入してしまうと、収集車や処理施設の中で圧縮や衝撃を受け、ショートして発火し、大規模な火災の原因となってしまいます。実際に、各地のゴミ処理施設では、リチウムイオン電池が原因とみられる火災が多発しており、社会問題となっています。
正しい廃棄方法は、「一般社団法人JBRC」などのリサイクルシステムを利用することです。
【正しいリチウムイオン電池の廃棄手順】
- リサイクル協力店を探す: JBRCの公式ウェブサイトなどで、回収を行っている協力店(家電量販店、ホームセンター、自転車店など)を探します。
- 端子の絶縁: 最も重要です。回収に出す前に、電池のプラス極とマイナス極の端子部分を、セロハンテープやビニールテープで完全に覆い、ショートしないように絶縁します。
- 協力店に持ち込む: 絶縁した電池を、協力店の回収ボックスに入れます。
膨張しているなど、明らかに危険な状態の電池は、協力店でも回収を拒否される場合があります。その場合は、無理せず購入店や専門の販売店に相談し、産業廃棄物として適切に処理してもらうように依頼しましょう。
私たちの便利を支えるリチウムイオン電池を、最後まで責任を持って安全に処理することが、快適な社会を維持するための大切な一歩となります。




